== SPIRIT DOLL Nymphaea ==

黒い髪のコッペリア

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黒い髪のコッペリア




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白磁の上に細筆で描かれた青い血管は、脈打たない。
赤い薔薇と同じ色をした唇が、心を歌うことはない。
硝子のその瞳が、黒色の睫毛で伏せられることはない。



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その胎は空だ。
空虚を閉じ込めた殻だ。
永遠を封じた体に、温もりなどありはしない。
規則的に聞こえてくるのは、金の歯車と銀の螺子が軋む音だけ。



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藍晶石のような模造の瞳は、窓から見える風景を映す。
窓の前に置いた椅子に腰掛けていれば、そこから見える世界のことを知ることが出来る。

朝の太陽、夜の月。春の花、夏の陽炎、秋の田畑、冬の雪――。
黒い窓枠に切り取られた、小さな世界が見えるだろう。
その世界だけが、見えるだろう。



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機械仕掛けの肢体。
金属の心臓は、細い指をぎこちなく動かし、本の頁をめくる。
出来ることといえば、本を読むことと、めぐる季節の中で過ごす人々の姿を、静かに見つめ続けることだけ……。



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窓の外から自分を見つめる誰かの視線に、応えてあげることも出来ない。



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ならばせめて、硝子の瞳から繋がる殻の中で、文字に物語を語らせよう。
空洞の身体の中は無限。
現実も、夢も幻も、いくらでも踊らせることが出来るのだから。



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黒い髪の少女人形、コッペリアのために。



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『コッペリアの本棚 マズルカが踊れない君のために』の本文を改変したものです。


本当は着物がよかった!
「窓辺で本を読む、着物を着た黒髪少女人形」、憧れです(*^.^*)





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